
子どもたちに必要なのは、本と鉛筆、そして安心できる時間
2026年7月2日
おやつや遊びは、贅沢ではありません。
子どもたちが安心して学び、心と脳を健やかに育むために欠かせない、大切な「日常」です。
ハヤートナが寺子屋とおやつクラブを続ける理由を、ガザの現状とともにお伝えします。

「子どもには本を、大人には仕事を。」
これは、ハヤートナが活動を続ける中で大切にしている言葉です。
ヤスミンと現地のやり取りを近くで聞いている福岡のヒカルさんから、ガザの最新の様子が届きました。
ーーガザでは、子どもたちが夜中に砲撃の音で目を覚まし、恐怖で泣き叫ぶ日々が続いています。現地からは、「親はただ抱きしめて安心させることしかできない」という話も届いています。
マワシのテント寺子屋(第2寺子屋)では、ムハンマド先生が週3日、ムハンマド少年とサマールさんが週1日、子どもたちの学びを支えています。
先日届いた写真には、数十人の子どもたちが狭いテントの中でムハンマド先生の話に耳を傾ける姿が写っていました。しかし、そこには十分な机や椅子がありません。ノートも鉛筆もなく、黒板も簡易な板だけです。それでも子どもたちは必死に学ぼうとしています。
一方で、最近は寺子屋を欠席する子どもが増えているそうです。理由は、ウイルス性の発疹を伴う感染症とみられる病気が広がっているためとのことでした。医師の診察や十分な治療を受けられているのかは分かっていません。病気になった子どもたちは寺子屋を休み、テントの中で静かに過ごすしかない状況が続いています。ーー
このような強い恐怖や不安が長期間続くことは、子どもたちの心だけでなく、脳の発達にも影響を及ぼすことが、心理学や神経科学の研究から分かってきています。特に幼少期は、感情を調整したり、集中して学んだり、人との信頼関係を築いたりする力が育つ大切な時期です。
一方で、研究はもう一つ大切なことも教えてくれています。
子どもの脳には、高い「回復する力(可塑性)」があります。信頼できる大人がそばにいること、安全だと感じられる場所があること、友達と遊び、学び、日常を積み重ねていくこと。その一つひとつが、子どもたちの健やかな成長を支える力になります。
だからこそ、ハヤートナは二つの活動を大切にしています。
一つは、寺子屋です。
寺子屋は、読み書きや計算を学ぶ場所であるだけではありません。先生と出会い、友達と机を囲み、「今日も勉強できた」という小さな積み重ねを取り戻す場所でもあります。
もう一つは、おやつクラブです。
おやつクラブは、「おやつを配る活動」ではありません。
子どもたちが安心して集まり、おやつを食べ、友達と笑い合い、大人に見守られながら遊ぶ時間を取り戻すための活動です。
一見すると当たり前に思える時間ですが、心理学や神経科学では、このような安心できる日常の積み重ねが、子どもたちの心と脳の健やかな発達を支える大切な要素であることが分かっています。
だから私たちは、寺子屋とおやつクラブの両方を大切にしています。学ぶことと安心して過ごすことは、どちらも子どもたちの未来を育むために欠かせないものだからです。
日本では、鉛筆やノート、机や照明は当たり前にあります。
しかし、ガザでは、その一つひとつが子どもたちの未来を支える大切なものです。
私たちが届けたいのは、文房具だけではありません。
子どもたちが安心して学び、笑い、未来を思い描くことのできる時間です。
子どもたちの手にあってほしいのは、怒りや憎しみを握りしめたこぶしではなく、本と鉛筆です。
子どもたちの未来は、地球の未来でもあります。
この記事を読んで、「何かできることはないだろうか」と感じてくださった方へ。ーー
7月1日から27日まで、東京都北区・赤羽の青猫書房で開催されている「ジャーナリズムとアート『中東の和平』展」には、ハンユニスとマワシ第2寺子屋の開設にご協力いただいているSakabekoの佐藤真紀さんが出展されています。
会場内のアラブ・バザールでは、Sakabekoさんのイエメンコーヒーも販売されています。コーヒー1パックの売り上げは、鉛筆1本分の支援につながります。
子どもたちに本と鉛筆、そして安心できる時間を届けるために、お近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。
皆さまの温かいご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。