
壊れた家に、もう一度暮らしを――希望の修復作業
2025年10月21日
ガザ・ハンユニスで、半壊した家の修復が始まりました。
資材のない中でも、知恵と手で暮らしを取り戻す――
人々のたくましさと希望の光を伝えます。

ハンユニスで借りていた部屋の片づけが進んでいます。
片づけと言っても、ムハンマドやマッスーシーが散らかしたのではなく、今年3月の攻撃再開後に受けた爆撃と銃撃による壁やガラスの散乱です。
窓はもちろん、屋根も壁も、どこもかしこも穴だらけの状態でした。
最初に送られてきた動画には、壁にかかった見覚えのあるジャケットが映っていました。
「20分だけ時間をくれてやる」と言われ、本当に着の身着のまま逃げたのだと知り、改めて彼らの過酷な日々を思いました。
想像するに、どの家庭にも、
「明日の朝に」と下ごしらえをしていた食べ物がそのまま残っていたり、
子どものお気に入りのおもちゃが置き去りになっていたりしたのでしょう。
停戦と攻撃再開が繰り返されるたびに、時間が止まったままの場所ががれきに埋もれていく――
そんな光景が、いくつもあったのだろうと思います。
そんな中、マッスーシーはハンユニスの家の修復を始めています。
半壊した建物をどうやって直すのか、資材もないのにと心配していたところ、ガザからヤスミン代表のもとに修復作業の動画と写真が届きました。
背番号10番のシャツを着た、元サッカー少年のマッスーシーが右手に握っていたのは“土”。
セメントが手に入らないため、粘土質の土と水を混ぜた“手づくりの代用セメント”で壁の穴を埋めていました。
大きな穴は、倒壊した建物の廃材を土で接着させながら塞いでいるようです。
物資がなくても、知恵を絞り、自分たちの手で生活を立て直す。
その姿に、現地の人々のたくましさと、静かな希望の灯が見えました。
生活の拠点が整ったら、次は寺子屋の教室の修復へ。
そして人々が少しずつ戻り始めれば――ハンユニスの寺子屋、子ども食堂、職業訓練の場に、再び人々の笑顔と未来への希望が戻ってくるはずです。
今度こそ、停戦が続きますように。