
今、私たちはここにいます
2026年10月4日
ガザの寺子屋で、子どもたちが繰り返し歌う「五感の歌」。そして、爆撃で黒くなった教室の壁に残された、色とりどりの小さな手形。その姿を見ながら、そこに込められた「今、ここにいる」というメッセージについて考えました。

以前から、寺子屋の子どもたちが教室で、何度も同じ歌を歌っているのを動画で見ていました。
「五感の歌」です。本当のタイトルがわからないので、私は「五感の歌」と呼んでいます。
「私は人間、感じる力を持っています。 私には五つの感覚があります。」
そんな力強い言葉から始まり、目で見ること、耳で聞くこと、鼻で香りを感じること、手で触れること、舌で味わうことを歌います。
子どもたちがこの歌を繰り返し歌う姿を見るたびに、私は、なぜ先生はこの歌を選んだのだろう、と考えていました。
見る。聞く。匂いを感じる。触れる。味わう。
私たちは、それぞれ異なるかたちで、自分のまわりにあるものを感じながら生きています。けれど、日々の暮らしの中で、自分が「感じている」ということそのものを意識する機会は、それほど多くないのかもしれません。
明日も同じ日常が続くとは限らない場所で暮らす子どもたちにとって、この歌は、自分が今ここにいて、世界とつながり、何かを感じている――そんな「生きている実感」を、教室のみんなで確かめ合う歌でもあるのではないか。私はそんなふうに感じながら、動画を見ていました。
そして、その教室の壁には、子どもたちの小さな手形がたくさん飾られています。
爆撃によって黒くなった壁をシートで覆い、それに子どもたちが絵の具を手につけ、一人ひとり手形を押して模様をつくりました。赤や青、黄色。小さな手の形が重なり、黒かった壁に、もう一度色と生気が戻っていきます。
この手形も、単に壁をカラフルにするためだけのものではないのかもしれません。
「私たちは今、ここにいます。」
一人ひとりが自分の手を壁につけ、その形を残すこと。それもまた、自分がここに存在し、生きていることを感じるための小さな営みなのではないかと、私は思っています。
「私は人間、感じる力を持っています。」
この歌を歌っているのは、ガザの子どもたちです。でも、いつの間にか、この言葉は私自身の日常にも残るようになりました。
仕事をしているとき。電車に乗っているとき。日々の中で、少しつらいことがあったとき。
ふと、この歌と、教室で歌う子どもたちの姿を思い出します。
自分が今ここにいて、周囲の世界からさまざまなものを受け取り、感じながら生きていること。そのことを、もう一度思い出させてもらいます。そして、ガザで暮らす人々が、いつか安心して、それぞれの感覚で季節や食べ物、人のぬくもりや美しいものに触れられる日が来てほしいと願います。
子どもたちの歌に励まされているのは、もしかすると私たちの方なのかもしれません。
10月10日、西南学院大学で開催される「ガザと福岡をつなぐ市民のつどい」。その会場も、子どもたちの教室と同じように、色とりどりの手形で飾られる予定だそうです。そして、当日のインターネットの通信状況に問題がなければ、ガザの寺子屋と会場をつなぎ、子どもたちが歌う「五感の歌」とダンスを見ることができるかもしれません。
ガザの教室の壁に残された小さな手形と、福岡の会場を彩る手形。そして、海を越えて届くかもしれない子どもたちの歌声。
遠く離れた二つの場所が、ひととき同じ時間を共有します。
お近くの方は、ぜひ会場へ足をお運びください。
「五感の歌」はYoutubeでも聞くことができます。聞こえる歌詞を書きとっておくと、ガザの子ども達と合唱ができるかもしれません。
◆「ガザと福岡をつなぐ市民のつどい」
日時:2026年10月10日(土)16:00~18:30
会場:西南学院大学 2号館301号教室
参加:無料・どなたでもご参加いただけます
申し込み:https://forms.gle/zjouusZ46C1SQScs5
◆ガザ「四色の猫」絵画展
期間:開催中~2026年10月27日(火)※土日祝日は休館
時間:9:00~17:00
場所:西南学院大学 3号館1階
内容:ガザのマッスーシー青年が描いた「四色の猫」の作品を展示
皆さまのご参加をお待ちしております。