top of page

紛争前と現在──ガザの教員たちの給与はどう変わったのか──私たちにできる支援を考える

  • Maryam
  • 2025年11月24日
  • 読了時間: 4分

更新日:2025年11月25日

入手できる限りの資料から、ガザではいま、教育を支えるはずの教員たちが、極めて厳しい生活状況に置かれていることを知りました。その背景には、紛争前の給与体系との大きな乖離と、現在の“支給不能”ともいえる状況があります。

この記事では、

  1. 紛争前の教員の給与(UNRWA・PA・ガザ実行政権各系統)

  2. 2025年現在の支給実態

  3. そこから浮かび上がる問題点

  4. 小さな有志の会でも現実的にできる支援

を整理します。


1. 紛争前──「決して高くはないが、生活は成り立っていた」給与体系

ガザには大きく3つの学校体系があります。

UNRWA学校(国連パレスチナ難民救済事業機関)

  • 1,000〜1,300ドル 前後

  • 国連の給与基準に基づき、市場平均より高め

  • 給与は比較的安定し、家族手当なども整備

    (ソース:UNRWA公式求人(Area Staff / Teacher)

PA(パレスチナ暫定政府)系公立学校

  • 名目給与: 2,000〜3,000シェケル(550〜850ドル)

  • ただし、ガザでは 実支給60〜70% の月が多く、→ 実質 1,200〜2,100シェケル程度

  • (ソース:公務員給与スケール(Civil Service Salary Scale)+ 国際報道の証言)

ガザ実効政権 雇用の教員 

  • 名目給与: 2,000〜3,000シェケル(と言われています。)

  • ただし満額支給は珍しく、→ 40〜70%支給が常態化 "ワーキングプア"と言われているそうです。

    (ソース:Palestinian Economic Policy Research Institute, Al Monitor 等)


まとめると紛争前であっても「フルに給与をもらえている教師の方が少ない」という、すでに厳しい状態だったようです。


2. 2025年現在──“給与があるのに受け取れない”という深刻な状況

戦闘と封鎖、経済停止により、給与の仕組みそのものが機能しなくなっています。

UNRWA教員

  • 契約上は月 1,000ドル前後 が維持されている

  • しかし、

    • 給与遅延

    • 無給休暇扱い

    • 一部地域では銀行機能停止

  • 「数字上は給与があるが、実際は受け取れない」状態

PA教員(ガザ居住者)

  • 2025年は “給与の50%支給” が公式発表される月が続く

  • 手取りは 600〜700シェケル(約250ドル以下) の場合も

  • 物流停止でATMに現金がないことも多い

ガザ実効政権雇用の教員

  • 財源が完全に枯渇

  • 一部では給与ゼロ・見込みなし

  • 給与を受け取るための招待が、「コーヒーを飲みに来ないか」といった暗号化されたテキストメッセージを通じて秘密裏に行われる。受け渡し場所は、しばしば避難民が身を寄せている学校の近くなど、爆撃の危険がある場所だという情報もあります。(https://www.nzherald.co.nz/world/gaza-teachers-and-civil-servants-risk-death-to-collect-partial-wages/Q6A6FZWSCBGSLLJM6BJVMMNP7A/)


    3. 今の問題点──ただ給与が低いだけではない

    ① 安定収入が絶たれ、生活基盤が崩壊している

    「元々低い給与」から、「支払い停止」へ。食料価格が数倍に跳ね上がった今、給与ゼロでは生活が成り立ちません。

    ② 教員自身が避難民となり、授業と生活の両立が不可能

    • 自宅は破壊

    • 家族はテント生活

    • 薪・水・食糧の確保が毎日の最優先授業を行うための最低限の条件すら失われています。

    ③ 教師不足が連鎖的に子どもの教育格差を拡大

    教員が生活できなければ、教育の復旧は不可能です。今は、「先生の生活を支えること = 子どもの学びを守ること」そのものです。


    4. 小さな有志の会にできる現実的な支援

    国単位ではなく、“個人や小規模グループだからこそできる支援”はないものか、考えてみました。

    ① 生活サポート(食料・飲料水・衛生用品)を直接届ける

    給与支援よりも実効性が高く、確実に生活を支えられます。但し、物資も不足しているので、購入できるかが問題です。

    ② 教員向けの「教育キット」を作る

    授業再開に必要な物資が極端に不足しているようです。ハンユニスの寺子屋の場合、木製品はドアも含めて消えていたそうですが、スペース自体は無事だったようなので、塗料で作った黒板は残っていると考えます。なので、チョーク、ノート、筆記用具などがあれば、教室は立ち上がりそうです。

    ③ 長期的には「教育者基金(Teachers’ Relief Fund)」をつくる

    小規模でも継続性があれば効果があるのではないかと思っています。

    金銭を直接給与として支払うのではなく、破壊された家の修繕費の一部、冬用衣服などの季節支援など、目的を限定した生活支援として行う形なら、現地の行政構造に左右されずに運用できるかもしれません。


    結論──いま必要なのは「先生が生き延びるための支え」

    ガザの教育は、教室や黒板が壊れたことだけではありません。教師の生活も壊れてしまいました。教師の生活が壊れてしまっては、学校は止まってしまいます。

    ですから、一人ひとりの教師を支える小さな行動の積み重ねから、教育の再建をサポート出来たらと、私個人は考えています。


 
 
 

コメント


bottom of page