『水脈を聴く男』に見る中東のもう一つの顔 ― 忘れられた時代と詩的な記憶
- Maryam
- 2025年11月10日
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中東という地域は、今では「紛争」や「古代遺跡」で語られることがほとんどです。その間――近代と現代のはざまで生きた人々の姿や、土地に息づく文化の記憶は、意外なほど見落とされています。
時には、アラブ文学のページをめくりながら、報道では語られない中東の“もうひとつの時間”に目を向けてみるのも良いかもしれません。
ザフラーン・アル=カースィミーの小説『水脈を聴く男』は、まさにその“忘れられた時間”を静かに呼び戻す一冊です。詩人でもある著者の筆致は、どこか韓国の作家ファン・スノン(黄順元)を思わせます。自然と人間の関係を、詩のような言葉でそっとすくい上げるその文体には、どこか懐かしさと祈りのような響きがあります。
個人的には、子どもの頃に偶然『金閣寺』(三島由紀夫)を手に取ったとき以来の、新鮮な衝撃を受けました。もしアラビア語の原文で読むことができたなら、その音の流れや韻の美しさから、さらに豊かな風景が心に広がっただろうと思います。

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